ウェディングドレスは、コピーではなく翻訳で届く——2027年トレンドから読む

花嫁スタイルは普遍的であり、トレンドなんか無い——。

これってある意味、正しくて間違ってもいる。

ウェディングドレスのトレンドは存在しているが、トレンドは毎年リセットされることはない。ブライダル現場の肌感覚では、5〜10年ほど、そのトレンドが進化しながら継続されることもある。

今シーズンも前年のトレンドを深めながら、2027年へと続いている。なぜ、トレンドが緩やかなのか。それは一生にそう何度も着る機会があるわけではない上に、ウェディングドレスは一般的に「白いドレスをまとう」という普遍的なものだから。

ただその緩やかなトレンドの中に、あなたの運命の1着があるかもしれないのも事実。だから私たちも、あいも変わらずトレンドを追い続けるのです。

2027年続いているトレンド・キーワード

1. コルセット

マーゴット・ロビーの製作・主演で今年、日本でも公開された『嵐が丘』からインスパイアされた、クラシカルなデザインが引き続きNYではキーワードの1つ。スカートはボリュームたっぷりのボールガウンにトップスはコルセットで、よりドラマチックな印象に。コルセットは大胆に露出させたデザインや、ウェストを細く身体にピッタリとしたシルエットを作り出すロングラインコルセットも再注目されている。ビクトリア風のレースやタフタに、コルセットやバスクウェスト、ドロップドウェストでしっかりとウエストを構築し、ボリュームのあるパニエを装着したスカートラインといった情緒豊かなデザインが目を引く。ヒストリカルでありながらも、肌の見せ方には現代女性らしい快活さも感じさせ、現代の解釈が加えられたデザインとなっている。

ドロップドウェスト(ドロップウェスト)は、ウエストの位置が低いいわゆるローウエスト。長身花嫁であればバランスよく着こなせますが、一般的に日本を含めアジア圏の花嫁には着こなすのが少し難しいスタイル。NYではトレンドですが、日本のバイヤーが買い付けるには少し勇気のいるデザインなので、日本ではトレンドまではいかないと予想。

2. 90年代のミニマルでシンプルなデザイン

FX局史上最も視聴されたドラマ*の1つ、『ラブストーリー ジョン&キャロリン』(『Love Story: John F. Kennedy Jr. and Carolyn Bessette』)が、NYのウェディングガウンに90年代のミニマリズムを再来させた。日本でも人気のMonique Lhuillier 、またPnina Tornaiもインスピレーションを得ているとThe Knotも報じているように**、ドラマチックでクラシカルなドレスと共に、90年代のミニマルも同時に支持を得ている。

ジョン・F・ケネディJrとキャロリン・べセットは当時、そして今も憧れのカップルとして憧れを集めている。キャロリンのウェディングスタイルは、現在でも花嫁の支持を得ているし、実際にドレスもヘアメイクも表情もパーフェクトに美しい。

 プリンセスドレスが花嫁らしさの王道とはいえ、装飾のまったく無いノーブルなデザインは、いつの時代も魅力的だ。上品で凛としたイメージは、花嫁の美しさをより引き立たせる。

*https://madamefigaro.jp/lifestyle/260328-ny-love-again-love-story-john-and-carolyn/

**https://www.theknot.com/content/wedding-dress-trends#continued-90s-minimalism

3.ドレーピング

 動きのあるデザインが特徴的な今シーズン。流れるようなシルエットに、巧みなドレーピングは、さまざまなパーツでみられた。

構築的なネックラインのドレーピングや、スカートから流れるようなドレーピング、ウエストラインに柔らかな印象を与えるドレーピングと、素材と身体のパーツに自然な動きを加えた。ドレーピングは軽やかでソフトな印象を与えるが、素材やシルエットによってエレガントにもモダンにもなり、デザインの幅が広がる。かつ写真撮影時には、そのシワやひだによる陰影で立体感が残る。つまり、のっぺりした写真にならない。だからフォトウェディングや前撮りなど、写真撮影のウェディングドレスとしてもオススメ。ドレーピングは2027年の大きなトレンドとして注目を集めそうだ。

4. ペプラム

 2012年あたりで人気だったペプラムが帰ってきた。ペプラムが重要なキーワードだったMira Zwillingerをはじめ、2027年はさりげなくウエストを彩るレースのペプラム。構造的にも主張しすぎることの無いスタイルでペプラムを取り入れたことで、美しいウエストを作りながらも、ソフトでロマンチックな印象に。

一方で、ドラマチックなペプラムスタイルもViktor & RolfDanielle Frankelにて発表された。ボリューム感たっぷりのドレープが作り出すペプラムや、幾層にも重なったデザインなど、ダイナミックなペプラムスタイルも印象的だ。

ペプラムはどちらかというと長身花嫁の方が着こなしやすく、小柄な方は少し難しかった印象。ただ、今シーズンの繊細でさりげないレースなどのペプラムなら、多くの花嫁が取り入れやすい! もちろんヒールの高さでいくらでも調整できますが、小柄な花嫁にも着こなしやすいペプラムデザインが多いのは朗報。ダイナミックなボリューム感のあるペプラムが希望であれば、高いヒールでバランスをとると良いでしょう。

5. ホルターネック

 スタイリッシュな印象のホルターネックは、今シーズンの注目ネックライン。スレンダー系に採用されることが多かったホルターネックだが、今シーズンはボリューム系ドレスなど幅広いシルエットでみられた。BBFW*ではElsie Toroがシンプルなホルターネックに、ドラマチックなボリュームスカートと構築的なルックを発表している。

またホルターネックは、デコルテラインが覆われ、背中が開くデザインなので、可愛らしさとセクシーさを両立しやすい。さらに、フェイクレザーやジャガードなど、素材使いにも幅がある。

背中が大胆に露出したデザインのため、後ろ姿のバランスにも注意したい。特に小柄な花嫁は、背中の空き具合によってはスタイルが悪く見えてしまうことも**。フィッティングの際は、必ず後ろ姿の写真を撮ってチェックしておきましょう。

*BBFWバルセロナ・ブライダル・ファッションウィーク

**背中の空きが深すぎると、身長が低く胴長に見えてしまう可能性があるので注意

6. パウダーパステル

 カラー展開は、ライトなパステルカラーやグレイッシュなくすみ系のパステルカラー、総じてパステルカラーが人気。そもそもお色直し、カラードレスを着用する慣習は日本のもの。だからコレクション等でカラーが注目を集めることは少ないのですが、淡いピンクやブルーなどのパウダーパステルカラーが幻想的な雰囲気を演出し、繊細でありながらも印象的なデザインを生み出した。

日本の大人花嫁にとって、カラードレスは難関。なぜなら、カラフルなカップケーキドレスは多くても、大人の花嫁が満足できるようなボリュームカラードレスはバリエーションが少ないから。ただ今シーズンは、柔らかな色調で控えめなカラーながら、強いインパクトを残せるドレスが揃っている。

“シルエット“と”ロマンティック”、両方欲しい花嫁たち

One Fine Day Bridal Marketは、現代の花嫁は明確なビジョンを持ち、「構築的なシルエットとロマンティックな美しさ」の両方を求めると語っている*。

すべての花嫁が明確なビジョンを持っているとは思わないが、ウェディングドレスに求める要求が複数、多岐にわたることは日本でも同じだ。構築的なシルエットでありつつも、ロマンティックという、相反するような希望もウェディングドレスでは大いにありえる。だってせっかくウェディングドレスを着るなら、あれもコレもとリクエストが上がるのは当然のこと。むしろ、こちら側としては、ビジョンが明確でも、不明瞭であってもじっくり楽しくドレスを選んでほしいから。ワガママになってほしい。もし迷うことがストレスになってしまうようなら、ぜひatelier hauoliにご相談ください。

 そしてウェディングドレスだからこそ、根底にある「いつみても美しい」普遍的なドレスと、トレンド感の両立にはバランスが必須だ。2026年から2027年へ移る際、トレンドは急に変化すること無く、少しずつ深められている。たとえば、ここ数年連続しているボリュームスリーブは、『嵐が丘』のエッセンスが加えられ、ヒストリカルなデザインに組み込まれた。さらに、クラッシクなデザインは普遍的に美しいウェディングドレスだが、どこか古臭さをまとうことがある。ただそこにトレンドが加味されることで、今の花嫁スタイルに仕上がる。

だから、ウェディングドレスはトレンドを深追いするものでもないが、完全に無視するものでもない。そして、ウェディングドレスのトレンドは連続し、継続する。これも一般的なアパレルと異なる大きな特徴だ。たとえばZARAやH&Mのようなファストファッションは、ランウェイのトレンドを数週間で店頭に並べる「コピーの速さ」で勝負している。けれどウェディングドレスは、そもそもその土俵に乗らない。素材・生地選びからひとつひとつ仕立てられ、ショップは海外の実物を買い付け、あるいはそのエッセンスを自分たちの花嫁に合わせて翻訳し直す。ロイヤル・ウェディングが一瞬にしてトレンドを転換させるような出来事**もあるが、通常はトレンドがじわじわ育つ。毎シーズン一新されるわけでも、一瞬で世界中に伝播するわけでもないのは、業界が遅れているからではない、そもそも花嫁衣裳が”コピー”ではなく”翻訳”で伝わる世界だからだ。多くの方がウェディングドレス選びは、一生に1回しかない機会。だからこそ、トレンドの魅力を楽しみながら、自分にとっての普遍的な1着を選び出してほしい。(1トレンド text:atelier hauoli、2まとめ text:Miho Ono⇒Research

*https://onefinedaybridalmarket.com/blogs/market-recaps/new-york-bridal-fashion-week-spring-summer-2027-trends

**英国王室のキャサリン妃がまとったロングスリーブのウェディングドレスは、最近のドレストレンドを一気に転換させた。『一夜で「古風」が「洗練」へ──キャサリン妃のウェディングドレスとファッションの反転

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Wedding Dress
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